シングルリテンションブリッジ※保険適用外
歯を失った時の選択肢として一般的なのはブリッジ、インプラント、入れ歯の3つの選択肢があります。しかし、歯を削ったり骨を削ったりする必要があったり、あるいは入れ歯にしても使いにくかったり、それぞれ一長一短があり、患者さんや我々歯科医師の悩みどころです。
その悩みに対して一つ解決案を提示したのが、ドイツのMatthias Kern教授です。前歯を失った患者に対して、その隣の1本の前歯の裏側だけを深さ0.7mmで削り、ジルコニアという材料を使ってブリッジを作ることを提唱しました。(図)
当院でもこの治療を取り入れております。
全体像
裏側の厚みは0.6~0.7mm、歯を削る量もわずかで済みます
表側は隣の歯を削らずに裏側だけで支えます
このように裏側からセラミックを接着します
〈メリット〉
- ・削るのは両端の歯ではなく、片方だけでよい
- ・削る厚みは通常のブリッジより少なく、最大で0.7mm(通常のブリッジは1.5~2.0mm)
- ・接着後に虫歯になることはあまりない(外れても、中が虫歯になっていないことが多い)
- ・10代の患者にも適応可能(ブリッジやインプラントは10代の患者には不適応とされている)
〈デメリット〉
- ・保険がきかない
- ・前歯1本の欠損にしか適応できず、応用可能なケースは限られている
- ・日本ではまだ一般的とは言えない治療法であるため、外れたときに他の歯科医院で対応できない可能性がある
これらの欠点もありますが、長期的には10年間で外れなかったケースが90.2%、外れた後再装着が可能だったのが8.0%という研究データ(Kern M, Passia N, Sasse M, Yazigi C. Ten-year outcome of zirconia ceramic cantilever resin-bonded fixed dental prostheses and the influence of the reasons for missing incisors. I Dent 2017;65:51-55.)もあり、これはインプラントや通常のブリッジと比べてそん色ない成功率であると言えます。またこの長期予後の安定性から2015年のドイツの歯科治療のガイドライン(S3-Leitlinie "Vollkeramische Kronen und Briicken''. Dtsch Zahndrztl Z 2015;70:123-132.)においては推奨された方法です。
適応症には制限がいくつかあるので全ての方に可能であるとは言えませんが、気になる方はご相談ください。
こんな方にオススメです
- ●外傷などで前歯を抜かなければならないと言われた方
- ●ブリッジを作るために歯を削ることに抵抗がある方
- ●インプラントのための外科処置を受けたくない方
- ●前歯をきれいに作りたい方
※患者様によっては施術を行えない場合もございますのでご了承ください。
※費用や治療期間に関しては患者様それぞれの状態によって異なります。